【対象】
新編 新しい国語
小学校の国語教科書では、戦前の国定教科書の時代からずっと1字下げの書き表し方がとられてきました。 明治36年の第1期以来、国定教科書は1字下げの形式が定着しており、現在発行されている各社の教科書も、すべて1字下げの形式になっています。なぜ国定教科書でこの形がとられたかは定かではありませんが、おそらく、2行目以降を1字下げにしたほうが、かぎかっこが埋没せず、会話文と地の文とがはっきり区別できて読みやすくなる、という教育的配慮によるものと考えられます。
ただし、この形式は世の中一般にはあまり見られない独特の表記法であることも確かです。現在の書籍・新聞・雑誌なども、2行目以降を1字下げにしない形のほうがより一般的であると思われます。
一方、現在、発行されている中学校の国語教科書では、のような1字下げの形式をとっているものはありません。中学校の場合、世の中一般に広く行われている表記法に慣れることを優先するという意図があるとお考えください。