「新しい国語」では、原典がどのような形をとっているかにかかわらず、原則として会話文の後は改行し、「と」で受ける場合を除いて1字下げて書き表しています。
教科書という本の性格上、表記の仕方には、一定の統一したルールを設ける必要がありますが、会話文の「 」の後に続く文を1字下げるかどうかについては、大きく二つの考え方があります。
A 意味のつながりによって、会話文に続く新たな文を1字下げするかしないか判断する。
B 意味のつながりとは関係なく、会話文に続く新たな文は一律に1字下げする。
A・B二つの方式には、それぞれメリット、デメリットがあり、どちらが優れているとはいえないと考えられます。どちらにしても、著者の意図や原典でのさまざまな書き表し方とは関係なく、一つの基準にあてはめてしまうことには変わりがありません。Bの場合には、会話文はそれ単独で形式的な1段落を形成する(「と」で受けるケースは別であることはAも同じ)という考え方であり、機械的であることや、つながりの強弱が示されないことについて批判が成り立ちえます。しかし、Aについても、連続性の有無が明確なものばかりならともかく、微妙なものについては、編者の捉え方、恣意性がより強く出てくるという問題が起こります。
そこで、一律的な表し方のほうが、学習指導上の混乱を避けることができ、小学校段階としてはより適切ではないかと考え、Bの立場を採用しております。