【対象】
令和6年度版「新編 新しい算数」
「新しい算数」では、筆算を先に学習し、その後に暗算を学習する配列としています。
これには、いくつかの理由があります。
まず、計算に苦手意識がある児童も、数によらず同じ方法で答えを求められる筆算を習得することで、安心感をもって学習に取り組むことができます。
また、筆算の学習を通して数の構成に対する理解を深め、数に対する感覚を磨いた後に、 適切なタイミングで暗算を学習することで過度な負担感がなくなり、結果として暗算を必要に応じて適宜活用できるようになると考えられます。
さらに、数によらず同じ仕方で計算できるというアルゴリズムのよさを実感する学習は、数学のよさを実感する絶好の機会です。以後の学習においても、乗法や除法で同じように効率的・効果的に計算する方法はないかと発展的に考える数学的な見方・考え方を働かせ、成長させるためにも、発達段階に配慮しつつ、印象に残りやすい早期に実感すべきであると考えます。
なお、「学習指導要領(平成29年告示)解説 算数編」p.109の23行目以降の内容から、第2学年の加法、減法の学習の中心は、2位数の加法及びその逆の減法計算とそれらの筆算の仕方についての理解であると解釈できることも、筆算を最初に扱っている理由の1つです。
暗算は、児童によって得意、不得意が別れやすい面がありますので、数の学習と密接に関連づけながら、取り扱いに際しては個に応じた配慮と工夫が不可欠であると考えます。