2年、3年筆算で繰り上がりや繰り下がりの補助数字を書く位置について
【対象】
令和6年度版「新編 新しい算数」

 補助数字の書き方には様々な方法がありますが、正式なものはありません。したがいまして、教科書では、一般的に通用しているもの、計算の誤りが少ないもの、以後の学習においても適用できるものなどを判断基準とし、教科書のような表記にしました。また、以下の点なども配慮しました。
 
(1)たし算の筆算
  教科書2年上巻18ページの「35+29」のたし算の筆算では、繰り上がった「1」は、
 
 のように記述されています。このように、補助数字を書く位置は、被加数の上(上記の例で「3」の上)と決まっているのでしょうか。

・2年生の発達段階を考えると、できるだけ書きやすく、シンプルな方法が望ましいと考えます。
・繰り上がりのあるたし算の誤答の代表的な原因に、繰り上がりを忘れることがある。そのため、まずは繰り上げた「1」の処理をし、その後、位同士の計算をする習慣をつけたほうがよいと考えます。
  

(2)ひき算の筆算
  教科書2年上巻30ページの「47-18」のひき算の筆算では、十の位には繰り下げたことは示されていますが、一の位には繰り下げた「1」については示されておらず、
 
 のように記述されています。繰り下がりのある場合の補助数字について、例えば上記の例で、一の位の7の上に「1」、「10」などと書いたり、一の位の7を斜線で消して
 
 などと書いたりしてはいけないのでしょうか。

・たし算と同様に、できるだけ書きやすく、シンプルな方法が望ましいと考えます。
・この考え方に基づけば、ひき算の筆算では、一般的に一の位の計算を最初に考えますが、繰り下がりがある場合、1繰り下げなければひけないことをまず意識することから、一の位の7の上に「1」「10」などとかいたり、一の位の7を斜線で消して「17」と書いたりする必要感は低いと考えます。

 
(3)かけ算の筆算
  教科書3年上巻112ページの「16×4」のかけ算の筆算では、
 
 と記述されています。この場合、補助数字を書く位置は、答えの十の位の上と決まっているのでしょうか。(横棒の上に補助数字を書いてはいけないのでしょうか。)

・教科書(3年上巻112ページ)では、「16×4の筆算のしかた」の枠の左側に、部分積を2段に分けて書いた筆算の準形式を例示して「筆算のしくみ」を表しています。補助数字はこの準形式との橋渡し的な役割も果たしていると考えます。
・質問にありました、補助数字を横棒の上に書くことも考えられます。しかし、3年の第17単元「かけ算の筆算(2)」で乗数が2位数以上になると、筆算形式では部分積が複数の段になるため、横棒の上に補助数字を書くことができなくなります。

  なお、教科書に掲載するにあたって、補助数字の書き方自体も「厳格に指導すべき内容」として受け止めてしまうなどの誤解を避ける必要があります。補助数字の位置づけとして、あくまで、計算結果を正確に求めるための便法の1つとして取り上げていることを明確にするために、枠の外に置き、吹き出しで紹介するなど、抑えた表現方法で記しました。このように、補助数字は必ず書かなければならないものではなく、学級の実態や先生方の教材観に基づいて、柔軟に対応していただくべき内容であると考えています。
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