【対象】
令和6年度版「新編 新しい算数」
筆算について、正式な基準や方法が定められているわけではなく、児童の実態などに応じて柔軟にご対応いただいて差し支えないと考えています。「答えは4である」ととらえることができればよいのであり、例えば、「斜線を用いて0を消去していないから誤りである」や、「小数点を斜線で消去したから誤りである」などといったことは全く意図していません。
以下、3年下巻24ページ問題②(1)の小数の加法の筆算で、小数点以下の計算結果が「0」になる場合の、斜線を用いた消去の教科書上の表現の意図について説明します。
まず、末位の「0」について斜線で消去していることについて述べます。
筆算の手続きに従って計算すると、結果は4.0となります。ここでは、有効数字については考えませんので、4.0と4は同義であり、児童にとっても、筆算から得られた「4.0」から、「答えは4」とするのが自然です。「0」をそのまま残した場合、「小数の計算において、小数点以下が『0』になるときには、4.0と答えなければならない」との誤解が生じる可能性、また、小数点があることを忘れ、「答えは40」という誤答が生じる可能性に配慮し、0を斜線で消去することとしました。
次に、小数点について、斜線で消去せず、そのままにしていることについて説明します。
小数点を斜線で消去することのメリットについては、例えば、
(1) 答えは4であることから「0」を斜線で消したのだから、小数点も斜線で消すことが児童にとっては自然であるということ
(2) 「答え 4.」のような誤答が生じる可能性に配慮すること
などのことが考えられます。しかし、0を斜線で消去し、答えは4であることをとらえたならば、 (2)のような誤答が生じる可能性は低いと考えます。また、(1)については、誤答や誤解が生じるというレベルのことではないことから、結果として、小数点を斜線で消去する必要性はあまり感じられないと判断しました。
以上のように、筆算には正式な基準や方法が定められているわけではありません。教科書紙面は、上述のような考え方に基づいて扱っていますが、斜線を用いた消去の表現について児童から疑問が出された場合には、その内容に応じて柔軟に対応していただくのがよいと考えます。