3年第18単元「三角形と角」において、導入の教材を、ストローを使った三角形づくりではなく、円周上の点を結んで三角形をつくる活動を採用している意図を教えてください。
【対象】
令和6年度版「新編 新しい算数」

 主として以下のような理由からです。

・円の学習と関連づけて取り扱うこと
 円と三角形の学習が引き続き平成29年学習指導要領においても同学年での取り扱いとなっているのは、両者は決して独立した内容ではなく、関連づけて取り扱うことを意図していると考えるからです。円周上の点を結んで三角形をつくる活動は、既習の円の学習を活用して学習を進めることができます。具体的には、円の中心と円周を結んだ辺の長さは、1つの円では半径の長さは等しいという円の性質から、同じ長さであることが判別できます。また、円周上の点どうしを結んだ辺の長さについては、コンパスを使って長さを比べることで「長さをはかり取る」というコンパスの機能を活用する機会にもなります。さらには、円を使うことで、向きにとらわれず自由な見方が可能になるという利点もあります。
・色覚特性への配慮
 平成17年度用教科書『新編 新しい算数 4上』68ページで取り上げていた、ストローを使った三角形づくりでは、ストローの長さによって色を変えていました。そうすることで、辺の長さが視覚的にとらえやすくなります。その一方で、色覚特性によって色の判別ができない児童がいることも想定されます。
 今日、教科書ではこのような色覚特性への配慮がこれまで以上に求められています。また、色の違いだけによらない表現方法も難しいため、ストローを用いた活動の掲載は見送ることにしました。
 なお、円周上の点を結んで三角形をつくる活動は、ストローを用いた活動よりも準備が容易であり、児童一人ひとりが実際に活動に取り組むことができることも、この教材に変更した理由の1つです。
 もちろん、ストローを使った三角形づくりは、辺の長さに着目しやすいなどの利点もあり、先に申し上げた色覚特性の問題がクリアされていれば、授業で取り扱うことは差し支えありません。
FAQID:k-02-00050-0

お困りごとは解決しましたか?