4年上巻15ページ「ますりんつうしん」の兆よりも大きい数で、「垓」の次が「し(し)」となっています。書籍によっては、「じょ(のぎへんに予)」(コンピュータでは表示できませんので、以下、このように記します)となっているものもあります。どちらが正しいのですか。
【対象】
令和6年度版「新編 新しい算数」

どちらの漢字が正しいかということよりも、どちらの漢字も認められて差し支えないと考えます。教科書では、次の出典の記述内容を根拠として「し」を掲載しています。「し」を掲載している根拠となる出典はいくつかありますが、下記の3点をご紹介します。

(1)岩波文庫「塵劫記」(1977、岩波書店)
(2)現代語「塵劫記」(2000、和算研究所)
(3)大漢和辞典〔巻八〕(大修館書店)

(1)岩波文庫「塵劫記」の14ページには、次のように記されています。
 『(三)「じょ(のぎへんに予)」は中国の数学書にはすべて「のぎへんに市」(これもコンピュータでは表示できません)または「し」とある。「のぎへんに市」
・「し」は同字。「じょ(のぎへんに予)」は写し誤りであろう。げんに「塵劫記」漢文序には「のぎへんに市」とある。』

(2)現代語「塵劫記」の39ページの注意書きには、次のように記されています。
 『「じょ(のぎへんに予)」は正しくは「し」である。寛永4年版序文では「のぎへんに市」が使われているが、吉田は禾(のぎへん)の「じょ(のぎへんに予)」を用いた。吉田以外にそれまで「じょ(のぎへんに予)」を使った人はいない。』

(3)大漢和辞典〔巻八〕には、「し」の解説に、数の単位として、垓の次にくる単位であることが記されています。また、この辞典には、「じょ(のぎへんに予)」の記載がありません。

 なお、一般によく知られている「塵劫記」そのものには、「じょ(のぎへんに予)」が用いられていますので、このことなどを根拠として「じょ(のぎへんに予)」を用いている書籍もあると考えられます。
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