4年の単元配列で、「わり算の筆算(2)」の後に「概数」を配置している理由を教えてください。
【対象】
令和6年度版「新編 新しい算数」

 大きくは、2つの理由があります。

(1)子どもの数感覚を大切にしたいこと。また、わり算の筆算の学習を通して、さらに数感覚を伸ばしたいこと
 計算単元においては計算の仕方を確実に理解することはもとより、計算を通して子どもの数感覚をいっそう伸ばすこともねらいとすべきであると考えます。わり算の筆算の学習に際しては、先に四捨五入を指導しておき、四捨五入して仮商を立てる方が子どもにとって負担が少なく、また、便利な面もあります。しかし、その反面、四捨五入を前面に出しすぎますと、機械的な数処理に陥りがちといった面も持ち合わせていると考えます。すなわち、計算する前に答えの見積もりをしたり、数の特徴を生かした計算方法を考えたりというような、本来行うべき「数をよく見る」という活動が疎かになってしまうということです。もちろん、筆算の学習ですから、アルゴリズムに則って機械的に処理できることがよさの1つではありますが、仮商を立てる場面はアルゴリズムに入る前であり、そこではできるだけ数感覚を生かすことが望ましいと考えます。
 そして、「わり算の筆算(2)」においては、除数の25を子どものもつ数感覚により20とみたり30とみたりしながら計算するなど、子どもの数感覚を活かしながら学習を進めていく展開を採用しています。

(2)「概数」先習の単元配列の弊害が生じたこと
 以前に、「新しい算数」においても「概数」→「わり算の筆算(2)」という配列を試みたことがあります。その際の意図は、「仮商を立てる際の方法の1つとして四捨五入の活用も考えられる」というものでした。しかし、結果として「四捨五入の理解が不十分な子どもは『わり算の筆算(2)』の学習がますます困難になる」というご指摘や、「四捨五入を学習した後では、25を20とみることに戸惑う子どもも少なくない」というご報告も多数いただきました。また、先に四捨五入を扱った後では「数感覚を自由に活用して仮商を立てる学習が成立しづらい」というご指摘をいただいたことも付け加えておきます。
 以上のような理由から、「わり算の筆算(2)」の後に「概数」を配置しています。

 なお、実態などによっては、「概数」を先に指導するという可能性も考えられます。指導順序の入れ替えやすさに配慮して、「わり算の筆算(2)」と「概数」を近づけた単元配列としています(上巻、第6単元と第7単元)。
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