そのよりどころは「検定基準」と「新地名表記の手引」です。
1 「検定基準」では、外国地名については次のように定められています。
・外国の国名の表記は、原則として外務省公表資料等信頼性の高い資料によること。
・外国の地名及び人名の表記については、慣用を尊重すること。
2 「新地名表記の手引」(以下「手引」)は310ページにおよびますので、概略をお知らせします。
ポイントは、
・地名はなるべく、その国なりその地域なりの呼び方によって書く。ただし慣用の熟しているものは、それに従って書く。
・現地での呼び方の基準として、それぞれの国における公用のほか国際的機関による統一表記を重視する。慣用についても、日本における慣用のほか、国際的慣用についても考慮する。
・片仮名書きの表記は、原則として、小学校、中学校、高等学校を通じて一定する。
「手引」は初版が昭和53年に作成されましたが、その後文化庁が「外来語の表記」を示したこと、東欧・ソ連の変革などで地名自体が改変されたことを受けて改訂され、平成6年に新版がまとめられました。
見直しにあたっては、帝国書院、二宮書店、教育出版、東京書籍といった各教科書会社のほか、文部省、マスコミ関係者、外務省、文化庁などが参画しました。
◆東京書籍の地図帳で書き改めた箇所
例えばスカンジナビア半島がスカンディナビア半島に、イタリアのサルジニア島をサルデーニャ島、カタロニアをカタルーニャに書き改めています。これらはほんの一例で、高等学校レベルでは1,000以上になります。
◆ブ、ヴの使い分けについて
「手引」では、書くうえでは使い分けが可能ですが、日本人が耳で聞き分け、発音するうえで使い分ける段階には達しているとはいえないため採用を見送っています。東京書籍の地図帳も同様です。また、マスコミも現在は用いていません。
なお、「手引」は株式会社ぎょうせいから市販されています。