【対象】
令和7年度版「新編 新しい科学 1年」
教科書の表記は原則として、旧文部省の学術用語集にしたがっています。しかし、地学領域についての学術用語集は昭和59年まで発行されませんでした。そこで、弊社発行教科書の昭和62年度本までは、水の働きなどを考慮して、「浸食」と表記していました。ところが、昭和59年に発行された学術用語集地学編では「侵食」となったため、教科書でも学術用語集に従い、平成2年度本から「侵食」としました。他社の教科書も学術用語集に従って、「侵食」となっています。
では、なぜ学術用語集で、「浸食」ではなく「侵食」になったかということですが、その件につきまして旧文部省の学術情報課に問い合わせをいたしましたところ、「地学では、河川が土地を削り取る(領土・土地を侵犯する)という働きの方を重視して、侵(おかす)の文字にすべきである」という地学専門家の判断に基づき「侵食」の表記をしたとのことです。「浸食」では、「浸」に「ひたす・しみこむ」という意味もあるため、削り取るという意味が薄いという判断だったそうです。