「養分」と「肥料分」の明確な定義はあるのですか。
【対象】
令和7年度版「新編 新しい科学 2年」

 「養分」という言葉を中学理科で使う場合、主に「有機養分」と「無機養分」の2種類があげられます。中学理科では、「有機養分」は光合成生産物や食事によってとりこまれた有機物、「無機養分」は無機塩類など、主に分解者によってつくられた土中の成分のことを想定しています。弊社教科書を遡ってみると、昭和59年度版教科書では、有機養分のことを「栄養分」、無機養分のことを「養分」と表現していました。しかし、日常的に使われる「養分」と「栄養分」は、ほとんど同義で使われることから、混乱が生じるというご意見がありました。そこで、昭和62年度版教科書では、「有機養分」と「無機養分」という言葉を使用しました。しかし、こちらも、1年生の段階で、有機・無機の言葉の定義を行うことが難しいというご意見が多かったことから、平成4年度版教科書からは、根から吸収される無機養分を「肥料分」、主に光合成の同化産物であり、動物が食物を通じて体内にとり入れる有機養分を「養分」と表記しています。令和7年度版教科書では、2年p.124の側注(★1、★2)に、「肥料分」と「養分」の定義を掲載しています。生物学的にも、栄養学的にも、「養分」「栄養分」「栄養素」などの定義は明確ではなく、それぞれの文献のなかで定義されているのが現状です。
FAQID:k-04-00074-0

お困りごとは解決しましたか?