「スポーツや運動」と、対でいわれますが、どのように違うのでしょうか。それとも、同じなのでしょうか。
【対象】
令和3年度版「新しい保健体育」
令和7年度版「新編 新しい保健体育」


 「スポーツ」や「運動」という言葉は、国や時代によって、また、どのような場面で用いられるかによって、それらに込められる意味が異なります。さらに、日常生活で用いる場合と科学者が用いる場合では、意味が異なることがあります。
 例えば、「今から運動をする」といった場合、それは「今からスポーツをする」ことを意味する場合が日常生活にはよくみられます。ジョギングをする場合や、友達とバドミントンをする場合でも「運動をする」といっていることが多いのではないでしょうか。他方で、日常生活でも「スポーツ」と「運動」を区別して用いている場合があります。例えば、一人で気軽に動く場合は「運動をする」という言葉を用いても、人と競う場合には「スポーツをする」と表現するケースがみられます。競技、競争という側面を含めた場合には「スポーツ」を用い、そうではない場合には「運動」を用いる場合が多いといえます。
 スポーツ科学で用いられる場合、通常、「スポーツ」には二つの意味が込められています。 広い意味では、楽しみ、気晴らし、健康を求めて自発的に行われる運動をさします。また、国によっては、チェスなど、競技的側面を備えた遊びを「スポーツ」に含めている場合もみられます。この場合、ダンスや体操も「スポーツ」に含められることになります。また、協会などがなく、自主的に行われている活動も「スポーツ」に含められることになります。狭い意味では、競技として行われている運動をさします。その際には、協会や公式ルールを備えている個別のスポーツ種目をさしているといえます。
 近年では、「スポーツ」のなかに、単に人と競う活動のみではなく、何かに挑戦したり、自分の可能性を確認したり、達成したり、表現したり、さらには健康のために行う活動を区別することもできます。また、民族スポーツに代表されるように、文化的色彩を込めた場合もあります。
 これに対して、先に述べたように「運動」は、「スポーツ」と同じ意味で用いられる場合もありますが、個々のスポーツ種目を超えて、共通に含まれている要素という意味で「運動」という言葉が用いられる場合もあります。例えば、バドミントンのスマッシュと野球のバッティング、テニスのサービスには共通の動きがあると表現していることなどです。また、スポーツに込められた競技としての性格を全面に押し出すことを避けて、人間が行っている身体活動全体を表現する際には「運動」が用いられています。
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