書名の「新しい○○」の意味について教えてください。
弊社発行の教科書は、小中学校ではすべて書名に「新しい」という語を冠しております。
この書名は、戦前に国定教科書翻刻発行会社として発足した弊社が、戦後、検定教科書の出版社として再出発するに当たって採用して以来、今日に至るまで継続して使用している書名です。
この書名は、戦後改革の下で「新生日本」の建設にかかわっていきたいという、当時の先輩たちの決意・願望が反映されたものと受け止めており、その思いとともに「新しい」という書名を受け継いでまいりました。
この書名決定の経緯が、弊社の社史(『近代教科書の変遷 東京書籍七十年史』1980年刊)に記録されていますので、少々長くなりますが引用いたします。

《以下引用》
本社の小学校、中学校用教科書の書名に採用された「新しい」という形容詞は、検定教科書発行の意義を全社員に徹底させるために、広く社内から書名案を募集し、その中から選定したものであった。これは、新生日本の教育を担う教科書であることを表すとともに、「あ、た、ら」はともにア段で音感上雄大性を、「し、い」はともにイ段で謙譲性を表すものであり、別案にあった「最新」より、常に前進して止まるところを知らない姿勢を語勢上示すものとして決定されたのである。(昭和)二十三年九月を創刊号として発行された機関誌名を「教育復興」としたのも、近代の黎明を告げるルネサンス(文芸復興)にちなんで命名されたものであった。いずれも、新しい国づくりに参加するものとしての自覚と気概とを示すものであった。
《引用以上》

 なお、高等学校用教科書については、書名に「新しい」を冠しておりません。
これは、高等学校用教科書へ当社が参入したのが昭和30年代以降であり終戦直後とは時代背景が異なること、高校では科目が細分化されているため端的に科目名を書名とすることがわかりやすいこと、昭和50年代以降、同一科目で複数種類の教科書を発行するようになったこと、などが理由と考えられます。
また、書名に「新編」「改訂」等を付す場合がありますが、これは同じ学習指導要領の下での改訂版であることを示しています。新学習指導要領を受けての初版を「新しい○○」とし、その後の改訂に伴って「新編 新しい○○」「改訂 新しい○○」としております。
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